ロシア・ナショナル交響楽団 2012年日本公演

初のロシアオケを聴きにいってきました.
よく考えたら,ヨーロッパ以外の海外オケは聴いたことがなかった.
FMでたまたま流れていたのを聴いたことあるので,チケット買ってみたんだけど,いい意味で裏切られました.
指揮者のプレトニョフ,見た目普通のおじさん.指揮もいたってフツー.
でも,サウンドは普通じゃなかった.

グラズノフ: 組曲「中世より」Op.79 前奏曲

曲自体知らなかったけど,オーケストラの性格によく合ってる.
最後歌い上げるところは感涙もの.
オーケストラも弾き慣れているのか,各パートとも目をつぶっていても弾けるぜ!と言わんばかりの余裕っぷり.
アインザッツもしっかり合っていて,非常に一体感がある.
西欧のオーケストラだと,ハーモニーを作ってホール全体に行き渡せる感じだけど,このオケは違う.
音圧の掛け方が独特で,ステージの上から客席に平面的に音が送り込まれてくるよう.
ああ,こういうサウンドバルトークとか聴いてみたいなー.

グリーグ: ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16

ソリスト河村尚子さん.
強い印象を持ったのは,全く奇をてらわない弾き方をする,ということ.
こんなにオーソドックスを極めるような演奏は珍しい.
普通はソリストの想いが乗ってリズムやダイナミクスに影響を与えるものだけど,そういう考えではないようだ.
かと言って無表情というわけでもない.どうも不思議な気持ちになる.
テクニック的には何の問題もなく安心して最後まで聴けたし,こういうスタイルもあるのか,と新たな発見だった.

チャイコフスキー: 交響曲第4番 ヘ短調 Op.36

率直に言って,期待を上回る演奏をしてくれた.
圧巻だったのは,1楽章と4楽章.
びっくりするほど大きく鳴る硬いサウンドの弦と管.弾けるようなシンバル.
これぞロシアのチャイ4.
もしチャイコフスキーが聴いたら「そうそう,こんな感じ」とでも言いそうな演奏だった.


その反面,2,3楽章はメリハリがあんまりつかず大味になってしまったかな.
まあ,それでもいいや,と思えるほどインパクトがあったからよしとしよう.


全体を通じて金管,特にトランペットの音が硬くて,いかにもロシアオケという印象を受けました.
弦楽器も含め,ただ鳴らしているだけで土俗的な雰囲気が漂うし,西欧のオーケストラとはひと味違うな,と.