ロンドン交響楽団 2013

これまでも何度か聴いたロンドン交響楽団
ハイティンクは初めてだったので,指揮者でどれだけ変わるか興味津々.

ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 Op.19

まず,オーケストラの響きがとてもスタンダード.
決してドイツオケみたいな重厚さはない.また,フランスっぽいエスプリもない.
が,オーケストラの標準的な響きをとことん追求したらこうなるよ,というサウンド
色気を出して必要以上にリズムを揺らしたり,クレッシェンド/デクレッシェンドを大げさにしたりもしない.


ピアノはマリア・ジョアン・ピリスさん.
ピアノの音量がちょっと小さいかなあ...
あんまり自己主張の強い音は出さないのが,逆の意味で個性なのかもしれない.
ベートーヴェン室内楽的な響きは時折出ていたけど,常に,という訳ではなかった.
ちょっと惜しい.
もう少しかろやかにハネる感じで演奏してもよかったんじゃないなあ.
強いインパクトはないけど,楽譜に書いてあることをやり通した印象を受けた.

ブルックナー: 交響曲第9番 ニ短調

一言で言うと,久々にブルックナー感のある演奏に出会えた.
生演奏という点を鑑みれば,かなり良い出来だったんじゃないかな.


ブルックナー特有の低音が静かに鳴り続けるところがきっちり表現できている.
力のないオケだと音楽がブツっと途切れてしまうけど,そんなことはなかった.
流れの転換とか細かい入り方のミスはあったけど,ライブだし仕方ないでしょう.
ブルックナーは運指は大したことないが,ハーモニーを作るのがとても難しい.
普通のオケだとただ鳴ってるだったり,音自体が薄くて何も伝わってこなかったりする.
今日はそんなことはなく,まるで教会で聴いているかのような響きで,オケが一つの楽器になる瞬間が見れた.


オケが退場しても,ハイティンクが2回あいさつするまで観客は帰らず,拍手も止まず.
厳しいことを言えば,木管がちょっと弱かったかな.